差別を声ていく。
『
ヘルプ~心がつなぐストーリー~』を観た!
物語の舞台は1960年代。ミシシッピ州の富裕層では
黒人女性のメイドを雇い、家事や子育てを任せていた。
彼女たちに子供の面倒を見させる。
彼女たちが作った料理を食べる。
彼女たちが掃除した部屋でくつろぐ。
彼女たちに依存しながらも、
根強い、腐った差別心。
彼女たちはあくまで、
「家庭内奴隷」でしかないのだ。
人として扱われないこと。
私たちは声にしなければならない、
存在の意義を。
何も特別なことじゃない。当たり前のことを。
映画としては、ちょっと粗雑な感じもする。
でも扱っているテーマは動かしようのない
“事実”だから。
観ることに意味がある。

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こういう映画を観ると、
自分がどれほど心穏やかな場所に生きているのだと思い知らされる。
まともに差別をくらったことも、
執拗な差別をしたこともない。それがどれだけ幸せなことか。
「ああそうだった」と気づかされる。
人は比べたがりで、敵を作りたがる。そうすることで、“仲間意識”が芽生え、
小さなコミュニティで安心して暮らせる。
自分の異なる感覚、
自分とは似つかぬ形態。そこに
恐怖と拒絶が生まれる。
本当に小さな世界の中で
ひとりひとりが生きているから、
その小さな世界に“慣れない”ものは
なかなか小さな世界を包括する、
大きな世界の一部として見れない。
互いを隔離することで安寧に暮らせると思っているけれど、
その敵対心こそ不和を呼ぶし、本当の安寧とは程遠い。
もちろん本能的に危険を察知することもあるだろう。
それは人種も性別も超えての、“対ひと”への恐怖。
なんでもかんでも信じ込んでいては身がもたない。
でも根拠のない拒絶、排除は露骨にする前に、
それに
傷つくひとがいることを考えなければならない。
“対ひと”であるのだから。それを忘れてはならない。
差別心は、
“差別をしない”と思った時にはすでに
差別心があるわけで。
だから、自分の中で根を張る差別心(固定観念)を
まずは認めなければならない。
その上で、その差別心が、
大きな世界のどの程度のものなのか
じっくりじっくり考えてみる。

そして、いかにその差別心が、
小さな世界の小さな自分の
何の根拠もない感覚だったと知れたら、
どんなに恐怖心があっても友好的に歩み寄る努力をすること。
でもこれは、互いが互いに
信頼を寄せる勇気を持ち合わせていなければ
なかなか成功させるのが難しかったりする。
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実はここまでは、あくまでこの映画を観て、
最終的にどうしていくべきかの持論。
映画では、そこまでの話にいきついていない。差別される側と、差別する側。
双方が歩み寄り、本当の意味で相容れたシーンは、ないに等しい。
(歩み寄っている人は、もともとそういう観念があるから。)
だから見終わった後も、根本的な重さに胃もたれしそうになる。
それが現実だし、現実でしかない。
私たちはこの映画を観て、ただ、
こうした現実が当たり前のようにのさばっていることを思い出すだけ。
もちろん、そうした理不尽な世界で、
声にすることの意味を訴えている話でもある。
いつまでも“弱者”でいることは、本当の強さじゃない。
でも、声にしないことが、弱さとも言い切れない。
それほど、差別する側が優位の時に、
彼らが行う行動は、卑劣なものだから。
何でも訴え出ることが正義とは言えないのが社会。
(『
グラン・トリノ』が良い例。
目に見える悲劇をみすみす招く前に考えなきゃならない場合もあるよね。)
それでも、そんな中で立ち上がった女性たちがいた。
だからこそ、観る側は多くを学ぶのだと思う。
どんなに虐げられても、反発すれば、身に危険が振り返ってくる。
でも、今、自分たちが戦わねば
負の連鎖は人類に延々に蔓延る。
どこまで先の未来を考えてのことか、
声にすることがどれほどの効果をもたらすか、
実際は、そこまで期待していないのかもしれない。
結果ではなく、過程こそに意味あるものと思っているのかもしれない。

彼女たちは意を決っした。
その行く末がどうなろうと、
この過程が同じ立場の人たちの励みになればそれで良い。
現状に受け身になる必要はない。
もっと彼女たちは“選択”していい。不毛だ。それでも。動くこと。それは、何かしら結果をもたらすから。
良くも悪くも。
現実は現実。アメリカで反響を呼び、爆発的なヒットを飛ばした作品。
それはそういう現実が、隣り合わせにあるような環境だからかな。
だから日本では、「爆発的なヒット」を押す意味がないんだよね。
よってたかって観るほど安易じゃないよっていう。
もちろん多くの人が観るべき作品だけど、
「ああいい映画~(うるうる)」って迂闊にできないよ。
ちょっと頭の中で『
プレシャス』がちらつく。
あんまり重たくとらえなくていいのかなー。

スキーター(
エマ・ストーン)の
サクセスストーリーに要点を置いて観ればいいのかな~。
期待通り、
エイビリーン(
ヴィオラ・デイヴィス)<写真左>と
ミニー(
オクタヴィア・スペンサー)<写真右>の演技はよかった!
特にヴィオラ好きだわ~、ホントうまい・・・!
今作でも素晴らしい鼻水をちらつかせますので、お見逃しなく!
(『
ダウト~あるカトリック学校で~』での演技は必見!!)
ヴィオラは今作で、
アカデミー主演女優賞ノミネート!
オクタヴィアは見事、
助演女優賞獲得!!

彼女たちの演技を観るってだけでも、価値があるかもしれないね
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